2021-12-07 18:10:00

糖尿病(歯周病関連)

糖尿病と歯周病が関連する?

  日本糖尿病協会が発行する糖尿病連携手帳には、歯科との連携項目があります。

  具体的に、糖尿病と歯科疾患との関係はどのようなことが分かっているのでしょうか?

以下歯科連携

 

 

 

 

 

 

 

歯周病とは?

歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。

歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し、歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり腫れたりしますが、痛みはほとんどの場合ありません。

さらに進行すると膿がでたり歯が動揺してきて、最後には歯を抜かなければならなくなってしまいます。

Porphyromonas gingivalis などのグラム陰性嫌気性菌が歯周病菌の発症・進行に関与しており、成人の約80%が罹患しています。

歯周病

日本歯周病学会ホームページより引用

 

 

 

 

 

 

 

糖尿病だと歯周病が悪くなりやすい

 歯周病は糖尿病の6番目の合併症といわれることもあるほど、糖尿病と歯周病の関連を示す研究は多数報告されています。

糖尿病発症率が高い民族のピマインディアンを対象とした研究では、2型糖尿病患者群は、年齢と性別を揃えてマッチングさせた非糖尿病患者群と比べて、歯周病を発症している確率が2.6倍高いことが知られています(Diabetes care 13:836-840,1990)。これは1型糖尿病でも同様の結果でした(Diabetes care 16:329-334, 1993)。

その後のメタアナリシス(ある程度似ている複数の研究を統合し、ある要因が特定の疾患と関係するかを解析する統計手法)で、糖尿病患者群は非糖尿病群に比べて、歯周病のリスクが高いと分かりました(Dent Prev Health O 7:27-107,2009)。

血糖コントロールが悪いと歯も悪くなる

次に、血糖値が悪いほど歯周病が悪くなるのではと考えられ、研究がなされました。 糖尿病患者さんで調査を行ったところ、血糖コントロールが不良な方で歯周病罹患率が高く、歯周病が重症で歯の周りの組織が破壊されている確率が高いことが分かりました( J Clin Periodontol, 23(3 Pt 1): 194-202, 1996.)。血糖コントロールが不良(HbA1c ≧ 9%)であると、歯槽骨吸収のリスクが高くなる(Ann Periodontol 3:30-39,1998)、歯周炎のリスクが2.9倍になる(Community Dent Oral Epidemiol 30:182-192,2002)などの報告があります。

ドイツで行われた前向き研究であるSHIP cohort (Diabetes Care 35:2036–2042, 2012)では、HbA1c が 7%以上で5年後のアタッチメントロス(歯周病の進行で歯根に付着する歯周組織の量が減少すること)と歯の喪失リスクが増大していましたが、血糖コントロールを良く保てばそのような関連は認めませんでした。

血糖コントロールが不良だと歯周病が増悪する

 

 

 

 

 

 

 

重症の歯周病で糖尿病予備群になる

主に日本人を対象とした観察研究(J Dent Res 90:41-46,2011)では、歯周病の重症度と7年後の糖尿病の発症リスクには有意な関連はなかったという結果でした。

一方で、福岡県糟屋郡久山町の地域住民を対象とした生活習慣病の疫学調査である久山町研究(J Dent Res 83:485-490,2004)では、歯周病と耐糖能異常との関連が示唆されています。耐糖能異常とは、空腹時の血糖値が正常ではありませんが、糖尿病と判断される値まではない状態で、糖尿病予備群とも言われます。解析の結果、重度歯周病群は軽度群よりも10年後の耐糖能異常発症率が2~3倍に上昇することがわかりました。

 

 

 

 

 

 

 

歯周治療でHbA1cが少し改善する

歯周病の治療で血糖値が改善するのかについて検証する論文をまとめて検証した研究(J Periodontol 84:S153-163,2013)では、統計学的に有意にHbA1c が 0.36%改善する結果となりました。

歯周病治療で血糖値が改善

非外科的な歯周治療を行う群と非治療群を比較した前向き研究(JAMA 310:2523-2532,2013)では有意差がありませんでしたが、日本で行われた研究(Diabetes Res Clin Pract 100:53-60,2013)では、2型糖尿病を基礎疾患とした中等度から重度の歯周炎がありhs-CRPが500ng/mL以上の炎症がある患者さんを対象にし、スケーリング・ルートプレーニングと抗生剤の局所投与を行った場合、血糖値の有意な改善を認めています。

 

 

 

 

 

 

 

血糖コントロールでの歯周病改善は限定的

糖尿病治療を強化し血糖コントロールが改善することで、歯周の状態がどのように変化したかを観察した研究(J Diabetes Invest 4:320-324,2013)があります。血糖値の改善によって、歯肉の炎症は改善しましたが、歯周ポケットの深さに有意な改善はありませんでした。すでに発症している歯周病の治療には、血糖コントロールのみでは不十分で、原因であるプラーク細菌に対する歯科治療が必要であると言えます。

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

・糖尿病と歯周病は互いに関連している

・血糖値が良くないと歯周病が増悪しやすくなる

・歯周治療で血糖の改善が期待できる

・血糖値の改善だけでは歯周病は改善せず歯科治療が必要

定期的な歯科受診を忘れずに!

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2021-08-03 17:30:00

糖尿病(COVID-19関連)

糖尿病だと新型コロナウイルスの感染リスクは上がる?

  糖尿病があると、細菌による感染症になりやすく、入院や死亡のリスクが上がることがわかっています。

  では、細菌による感染症ではなく、ウイルスによる感染の場合はどうでしょうか?

  過去の研究では、糖尿病があるとSARSコロナウイルス感染症による死亡率が高まること、新型インフルエンザウイルス(H1N1)感染症でも重症化のリスクが高まることがわかっています。

  それでは新型コロナウイルスではどうでしょうか?

新型コロナウイルスcovid-19と糖尿病

 

 

 

 

 

 

 

糖尿病があっても感染率は同等

「基礎疾患として糖尿病があるだけで、新型コロナウイルスに感染しやすくなるか」についてはとても気になりますね。

新型コロナウイルスに感染した方の中に、糖尿病の方がどれくらい含まれていたかを観察した研究結果は全世界で多数発表されました。

結果にはバラツキがあり、糖尿病があると新型コロナウイルスに感染しやすいという報告もあれば、そうでもないという報告もあります。

このように同一の研究テーマに対する複数の研究がある場合、これらの結果を集めて統合して解析するメタアナリシスという信頼度の高い方法があります。

メタアナリシスで解析してみると、コロナで入院中の糖尿病患者の比率と、もとの人口の糖尿病患者の比率には差がありませんでした(Diabetes & Mtabolic Syndrome:Clinical Resarc & reviews 14:535-545,2020)

この結果から、

「糖尿病であるからといって、必ずしも新型コロナウイルスに感染しやすくなるわけではない」

とわかります。

マスク、手洗いなどの感染対策は非常に重要ですが、感染を必要以上に恐れ、家に閉じこもって運動量が極端に落ちてしまうのは避けたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

感染後の症状は重くなりやすい

 先ほど紹介したメタアナリシスには続きがあります。

 「糖尿病があると、新型コロナウイルス感染によって、重症化や死亡のリスクが上がるか」

 ということについても、同様の解析が行われています。

その結果、糖尿病があると、重症化して人工呼吸器が必要となるリスクや、死亡してしまうリスクが高くなるということが分かりました。

糖尿病患者さんは新型コロナウイルスcovid-19感染で重篤化しやすい

ここで新型コロナウイルスに感染して入院した中国の18歳~75歳の方を対象に解析した多施設共同研究(Cell Metabolism 31:1068-1077, 2020)もご紹介します。

入院後の経過を観察すると、2型糖尿病患者さんの方が生存率が低いという結果でした。

糖尿病患者さんが新型コロナウイルスに感染すると生存率が下がる

 

 

 

 

 

 

 

リスクは血糖値と関係する

糖尿病だと必ず増悪しますか?

どうにかリスクを下げる方法は無いのですか?

血糖値が良いと重症化や死亡のリスクが下がります!

先ほど紹介した研究(Cell Metabolism 31:1068-1077, 2020)には続きがあります。

入院中に空腹時や食後2時間血糖値が1回でも180 mg/dLを超えた方を不良群とし、血糖値優良群と比較したところ、血糖値優良群は生存率が有意に高いという結果になりました。

血糖値を良くすると生存率が上がる

参考までに、

血糖値良好群はHbA1c 7.3%で致死率は0.6%であったのに対し、

血糖値不良群はHbA1c 8.1%で致死率は6.0%でした。

 

 

血糖値以外の要素も重要です。

フランスの研究者(Diabetoligia 63(8):1500-1515,2020)が糖尿病患者さんのどような因子が重症度と関連するかを研究し、BMI(肥満度)と入院時の血糖値が関連すると報告しています。

以上より、感染時の血糖値が良好で、肥満度が低ければ、重症化し、死亡してしまうリスクを少しでも減らせるということが期待できます。

 

 

 

 

 

まとめ

・糖尿病であっても、新型コロナウイルスに対する感染率は上がるとは必ずしも言えない

・糖尿病だと、感染後に重症化しやすく死亡するリスクも上昇する

・入院時に血糖値が良いと重症化リスクが低い

適正体重と良い血糖コントロールを目指しましょう!

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