睡眠時無呼吸症候群
日中の眠気やいびきを契機に見つかることも多い疾患です。「少しくらいいびきがあっても大丈夫」と考えがちですが、様々な症状の原因となります。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:以下、SAS)は、夜間の睡眠中に無呼吸と低呼吸(いびき)を繰り返す病気です。 この場合の無呼吸とは、10秒以上呼吸が停止している状態を指します。女性と比べて男性では2~3倍多いとされ、肥満ではさらにリスクが高まります。
どのような症状が出るの?
寝ているときに空気の通り道が狭くなるため、いびきで気づかれることが多いとおもいます。
単純に熟睡できていないため、日中の眠気や集中力の低下が目立つようになり、事故の原因となることもあります。
夜間の低酸素状態や動脈硬化の進行により心筋梗塞や脳血管障害を伴いますし、交感神経を介して高血圧や糖尿病の発症や悪化に影響します。
低酸素状態による自覚症状として頭痛があり、夜間の高炭酸ガス血症が関与している可能性があります。
検査はどのように行うの?
先ずはJESS™(Japanese version of the Epworth Sleepiness Scale ;ESS 日本語版)で無呼吸症候群の可能性が高いのか調べてみましょう。
JESS™(Japanese version of the Epworth Sleepiness Scale) ESS 日本語版
もし、以下の状況になったとしたら、どのくらいうとうとする(数秒~数分眠ってしまう)と思いますか?
最近の日常生活を思い浮かべてお答えください。
以下の状況になったことが実際になくても、その状況になればどうなるかを想像してお答えください。
すべての項目にお答えしていただくことが大切です。できる限りすべての項目にお答えください。
ポリソムノグラフィ(PSG)検査
SASが疑われた場合には、簡易型検査装置によるスクリーニング検査を行います。この検査で重症例と判定された場合にはSASの診断となります。SASが疑われるものの、重症ではない場合には、終夜睡眠ポリグラフ(PSG)を行い脳波による覚醒状態を把握しながら精密検査を行います。
なんだか大変そうな検査ですね?
自分の部屋、自分のベッドでもできる検査です。
SASの治療方法は?
睡眠時無呼吸症候群となった原因によって治療方法は異なります。体重を減らす・飲酒を控える
肥満により舌根が沈下しやすくなることで閉塞しSASとなっている場合には減量が有効です。糖質・脂質・間食・飲酒を控えて運動量を上げて筋量も増やして基礎代謝をあげましょう。一度体重が下がって症状が改善しても、体重が戻ると症状も戻りやすいので、維持することが大切です。就寝前のアルコールも無呼吸を悪化させます。アルコールは寝つきをよくしますが、睡眠の質を下げてしまうので、就寝の4時間前には飲酒を避けることが大事です。体位を工夫する
SASの原因が舌根周囲の沈下に問題がある場合、体位の工夫が有効なことがあります。仰向けの体制では重力の影響で舌根が沈下しやすくなるため、横向きの姿勢で寝るようにすれば改善します。 ただしこの方法はSASが軽症までのときに有効で、就寝中に横向きの姿勢を保つ必要があります。睡眠薬などの服用を控える
精神安定剤や一部の睡眠導入剤は筋弛緩作用があり、舌根周囲の筋肉が緩むので、軌道がふさがりやすくなります。ただし急にこれらの薬剤をやめてしまうと、良くない作用が出てしまうことがあるため自己判断で休止せず、主治医にご相談ください。口呼吸を改善させる
鼻炎や副鼻腔炎などで鼻呼吸がしにくい場合には口呼吸になってしまいます。口呼吸では咽頭が狭くなり気道が閉塞しやすくなるため、SASになりやすくなります。鼻呼吸が楽になるように鼻症状を治療しましょう。口腔内装置
空気の通り道がふさがらないように、睡眠中に口に装具をはめる方法です。主にマウスピースを作成しいびきや無呼吸を少なくします。中等度までのSASには有効な治療方法です。手術療法
SASの原因が扁桃肥大にある場合などで明らかな閉塞部位がある場合には外科的治療が有効な場合があります。CPAP(シーパップ)療法
SASの原因は舌根が沈み込むことにあるので、鼻から気道に圧力をかけて送り込み気道の閉塞を解除する方法です。Continuous Positive Airway Pressureの頭文字からCPAP療法と言われます。CPAP療法を行うことで、日中の眠気や起床時の頭痛などの自覚症状が改善し、合併症である心血管イベントによる死亡率が低下します。睡眠時無呼吸症候群で受診される方へ
ここまでで、無呼吸症候群があると日常生活に影響を及ぼす症状だけでなく、生存に係わる問題も生じることがわかったと思います。
日中に眠気を強く感じる方、ご家族などにいびきを指摘される方など、疑わしい症状がある場合は睡眠時無呼吸症候群が潜んでいないか調べてみましょう。
診断までの検査はご自宅で行えます。後日解析した結果をご説明いたします。